夫です
「次はゴールドを獲る」
富士ヒルでシルバーを獲れる実力が付いたから。
そう思ってここにたどり着いたと思います。
富士ヒルに参加した体験から富士ヒルの攻略方法を書いていきます。
今回はゴールド獲得を目指す方向け。
完走・ブロンズ・シルバーを目指す人は過去記事を参考にしてください。
次は絶対にゴールドだ!
- コースレイアウト、目標タイム
- 周辺機材について
- エアロフレーム?軽量フレーム?
- 目標値:パワーウエイトレシオ(PWR)について
- まずは現状把握
- 筋持久力と心肺機能ってそもそも何だ?
- トレーニング内容
- トレーニング計画
- 体重管理
- 当日の準備
- 当日の作戦
- 最後に
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コースレイアウト、目標タイム
距離: 24km
標高差: 1,255m
勾配: 平均5.2%、最大7.8%
ゴールド獲得の条件は65分以内の完走だ。
平均時速にすると22.2㎞/h
シルバーの19.2㎞/hと比べると3.0㎞/h速い。
↓実際の走行動画
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周辺機材について
パワーメーターは必須です。
詳細は後述。
心拍数計はお好みで。
サイクルコンピュータはパワーメーター対応のものは安価なもので4000円程度。
この程度の価格帯でも機能面には何も問題ない。
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エアロフレーム?軽量フレーム?
自転車本体は22.2㎞/hの速度域でもエアロードが計算上有利。
ブリヂストンのRP9は旧作と比べて40㎞/hで20.9Wの空力改善
22.2㎞/hで計算し直すと6.4Wの節約になる。
他のメーカーでもだいたい同じ改善幅と仮定すると、
60㎏300Wを目標とした場合はPWR0.1相当。
体重換算すると約1.2㎏減量したのと同じことになる
財力に余裕がある or 買い替えの予定があるなら一考の価値はある。
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目標値:パワーウエイトレシオ(PWR)について
ゴールドを獲得するには平均時速22.2㎞で走る必要があります。
今回はヒルクライムなのでパワーウエイトレシオ(PWR)が重要。
ワット数/体重が4.6倍以上は必要。
巷で言われている「出力1割減」を考慮すると平地で5.1倍は欲しい。
なので、PWR4.6倍(平地では5.1倍)を目指しましょう。
趣味で自転車に乗っている人がパワーメーターなしでここまでたどり着くのは容易でありません。他競技の現役アスリートでも難しいでしょう。
ちなみに私が初めてパワメ(スマートローラー)を手にして
計ったFTP(1時間出力できる最大の強度)は252Wでした。
体重は70㎏でしたのでPWR3.6倍。
学生時代から運動は継続していました。
そこから1年半まじめにトレーニングをしてベストは298W64㎏(4.65倍)
5.1倍は一筋縄ではいかない。
というわけで、目標は65分PWR5.1倍
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まずは現状把握
本番では長くても60分出力し続ける必要がある。
有名な指標である60分出し続けられるのパワー値を計測しよう。
安全に走り続けられる長い登りがあれば最高。
平地を往復するのも良い。
全力でやるとかなりきついので、気分的にも続けやすい強度でもOK。
そんな場所近くにないという方は固定ローラーや3本ローラーで室内環境を構築するのも一つの手段。これは銭戦力高めの人向け。
ただ、時間効率はかなりいいのでオススメ。
今の時代、Zwiftなどオンラインでも楽しめる。
何をどう鍛えればいいのか?
65分のタイムトライアルと考えれば強度で言えばLTとテンポの中間くらい。
いわゆるFTP強度だ。
思い浮かぶのは「筋持久力」「心肺機能」だ。
でも、これらってもう少し深く考えるとどういうこと?
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筋持久力と心肺機能ってそもそも何だ?
長時間、高い強度で運動し続けられることなのだが、
もっと細かく考えるとどういうこと?
★65分間走る間に体の中はどうなっているのか?
1時間近く走るために、体の中ではいろいろなことが起こっている。
☆エネルギーの生産
→主に3種類
有酸素系
ミトコンドリアで酸素と糖、脂肪、乳酸からエネルギーを作る
60~80秒でエネルギーを生産できる
解糖系
貯蔵されたグリコーゲン、グルコースなどの糖からエネルギーを生産。
酸素を必要としないが乳酸とともに出るH+が体のpHを酸性に傾ける
全力稼働時は30~60秒で枯渇する
回復は10時間で60%、48時間で100%。イベント中の回復は期待できない
クレアチンリン酸系
全力稼働時は8秒で枯渇する。
回復は30秒で70%、3~5分で100%
☆エネルギーの貯蔵
脂肪:他二つに比べたら大量にある
グリコーゲン:解糖系のエネルギー源。筋肉中や肝臓に貯蔵されている。
クレアチンリン酸:全力運動のエネルギー源。量は少ないが比較的早く回復する。
☆老廃物の除去
糖の代謝から発生したCO2の除去 → 呼吸で排出
解糖系から発生したH+の蓄積 → 尿より排出
どちらも老廃物を運搬するのに血液を介している。
筋持久力と心肺機能の強化とはつまりこういうことだと思う
①目標の出力が出せるように使える筋繊維を増やす、肥大させる
②多くのエネルギーを貯蓄し
③可能な限り多くのエネルギーを生産する
④老廃物をより多く排出する
もっと詳しく見ていこう
・使える筋繊維を増やす、肥大させる
筋繊維は3種類「速筋」「中間筋」「遅筋」
FTP強度の場合では、すべての筋肉を使用している。
速筋はサボっているわけではないが、遅筋と中間筋が出力の大部分を占めている。
悲しいことに、速筋と遅筋の比率は生まれたときにすでに決まっている。
遅筋は増やせないが、速筋を中間筋に変化させることはできるようだ。
スプリンター体質の場合、これをやらないとヒルクライムはキツイはずだ。
肥大は読んで字のごとく。
遅筋も中間筋も筋肥大はする。速筋だけの特権ではないのだ。
速筋を肥大させた後に中間筋にすればいいのでは?
と思うのでオフシーズンのウエイトトレーニングはアリだと思う。
・エネルギーの貯蓄
FTP強度ではグリコーゲンの貯蓄量が重要だ。
消費量の割に回復までの時間が長いので予め貯蔵している量がモノを言う。
・エネルギーを多く生産する
遅筋と中間筋で出力の大部分を賄うことから有酸素系と解糖系がエネルギー生産の肝になってくる。
有酸素系では
ミトコンドリアの量
酸素供給量→血液量、1心拍で送れる血液量、毛細血管の発達
要はミトコンドリアに多くの酸素を供給できればより多くのエネルギーを生産できる。
富士ヒルでは酸素が薄い分エネルギー供給が減る。
平地と比較して出力約10%減の正体はおそらくこれ。
遅筋の比率が多い人ほど影響がでかいはずだ。
解糖系では貯蔵しているグリコーゲンをグルコースにして使用する。
グルコースは運動以外の生命維持にも使用する。
不足すると生命維持優先になり動けなくなる。いわゆるハンガーノックだ。
グリコーゲンはとにかく貯蔵量を増やすのが重要。
・老廃物の排出
老廃物は2種類ある。
糖の代謝で発生するCO2とH+イオンだ。
(乳酸はエネルギーとして再利用されるので老廃物ではない)
両者ともに血液によって運搬され、CO2は肺から呼吸で体外へ、H+は腎臓に運ばれ尿として体外へ排出される。
ここでは息を吐くことも大切になってくる。
H+が蓄積すると体のpHが酸性に傾き、他臓器の活動に悪影響を及ぼす。
そうならないように筋収縮が阻害される。
この場合はエネルギーが枯渇していなくても運動できなくなる。
腎臓のpH調整機能の強化と送れる血液量を増やせれば向上するはずだ。
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トレーニング内容
向上させる要素は以下の通り
①遅筋、中間筋の肥大
②速筋を中間筋に変化させる
③グリコーゲン貯蔵量の増加
④ミトコンドリアの量を増やす
⑤血液量を増やす
⑥1心拍で送れる血液量を増やす
⑦毛細血管の発達
⑧肺活量の強化
⑨腎臓のpH調整機能の強化
①~④が筋持久力、⑤~⑨が心肺機能に相当する。
これらを鍛えるために、どの強度のトレーニングをこなせばよいかは
サイクリストトレーニングバイブルやパワートレーニングバイブルに書いてある。
これらの2冊は昔から読まれ続けているものだ。
基礎的なことを身に着けるためにまずは本の内容のことを実践しよう。
まずはパワートレーニングバイブルから考えていこう。
パワーメーターはやっぱり必須
パワーレベルは7段階あり練習時間の目安は以下の通り
・回復走(FTPの55%以下 30分で済ます)
・耐久走(FTPの56%~75% 1H~5H)
・テンポ(FTPの76%~90% 1H~3H)
・LT (FTPの91~105% 8~30min)
・VO2MAX(FTPの106%~120% 3~8min)
・無酸素(121%~150% 30秒~3min)
・神経筋(151%以上 30秒)
各要素で一番効率の良い強度は以下の通り
テンポ ②③
LT ② ④
VO2MAX ① ⑤⑥⑦
無酸素容量 ⑨
⑧は記載ないけどおそらくVO2MAXか無酸素容量だと思う。
水泳のクロストレーニングも効果的だと思う(´・ω・`)
無酸素容量は富士ヒル本番ではほぼ使わない強度だが、
VO2MAXのトレーニングをしっかりこなすのに⑨が必要のため組み込む。
富士ヒルに特化するなら、テンポ、LT、VO2MAX強度を重点的に強化する。
スプリンター体質の場合、②をしっかりやらないといけない分時間がかかる。
運動継続時間を考えればテンポ強度をこなすのが重要になってくる。
脂肪を減らす減量には有酸素系を使わないといけないのでなおさら。
(時間を確保できるなら耐久走強度でもいいが、社会人では確保できる人の方が珍しいのでは?)
中間筋が増えたとしても登坂能力はクライマーに勝てるとは限らないためやっぱりハードルは高い。
続いてサイクリストトレーニングバイブル
サイクリストトレーニングバイブルではトレーニング期間を期分けすることを推奨している。
基礎を積み上げてから応用にシフトしていく感じだ。
その中でもわかりやすいのはこの3角形の図にまとめた内容だ。
「筋力」「持久力」「スピード・スキル」が基礎能力で
応用として「筋持久力」「スプリントパワー」「無酸素持久力」がある。
期の初めの方で基礎能力のを鍛えていくということだ。
「ピラミッドは裾野が広いほど頂上は高くなる」というグッとくる言葉もある。
ちなみに期分けは以下のまとめた図の感じだ。
レースから起算して19週間~29週間かけて段階を踏んでいく。
5カ月から7カ月くらいだ。
暖かくなって自転車イベントが多くなり始めるタイミングに向けるとなると、
冬の時期に基礎トレーニングを開始することになる。
だからオフシーズンは筋トレやLSDをやる人が多い。
シーズンに向けてこれらの基礎能力を鍛えているわけだ。
富士ヒルに特化して、テンポ、LT、VO2MAX強度を重点的に強化するならば
まずは「筋力」と「持久力」をつけよう。
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トレーニング計画
期分けとパワートレーニングを合わせて計画してみよう
・12月~2月(基礎期①②③ 持久力と筋力の向上)
持久走をメインとして筋トレやVO2MAXのMAX強度をこなす
→持久力と筋力(遅筋・速筋両方)を向上させる
筆者は2分MAXや3分MAXを取り入れている。
生半可な強度ではなく文字通り1発限定のMAX値を目指す。
筋トレは必要・不要様々な声があるが、筆者は必要だと思う。
ヒルクライムオンリーでも準備期の1、2週間は筋トレしておいた方がいい。
パワーが上がればヨシ。体幹が強くなても良し。
その後は筋トレしなくなれば不要な筋肉は落ちていくので、
レースシーズンまでには不必要な体重増は無いはずだ。
トレーニングが義務と感じない程度に柔軟にメニューは組んでいこう。
時間のある日は1~2時間程度持久走
時間がない日はVO2MAX強度のMAX走 くらいの感覚でもいい
注意点として、この時期のインターバルトレーニングは我慢しよう。
VO2MAXのインターバルメニューは強度が低くなりがちで、
「筋力」に対しての効果が薄くなる。
・3月~4月(強化期①② 筋持久力の強化)
テンポ強度、LT強度メニューを多めにする
→筋持久力を向上させる
基礎期で鍛えた持久力と筋力から筋持久力を伸ばしていこう。
65分という競技時間に備えて、テンポ走は90分にしてみたり、
LT強度は8分→10分→15分→20分・・・など強度と時間をどんどん合わせていこう。
一番大事なのはトレーニングを継続することです。
テンポ走の強度程度から進捗確認しても良いでしょう。
FTP計測はとてもつらいので、嫌になって自転車から離れるくらいなら、
そこまで頻繁に行う必要もないでしょう。
・5月
60分走などの当日を意識したTT、テーパリング
→最終仕上げと疲労抜き
65分くらいかかるようなTTや20分×3などのインターバルで最終仕上げ。
直前1週間は強度は落とさずに量を落として調整しよう。
とにかく大事なのはトレーニングを継続することです。
雨の日も風の日も雪の日も時間は過ぎていく。
立てた計画通りにこなしたいなら室内環境は揃えた方がいい。
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体重管理
ヒルクライムでは基本的に体重が軽い方が有利です。
有酸素系強度をうまくこなして脂肪を減らしていく。
普段の食事も量を考えて採りましょう。
減量の目安は月当たり0.5㎏~2㎏のペースで減らせれば上出来でしょう。
本番直前に高強度(特に無酸素強度)の練習は避けましょう。
グリコーゲンを取り込む際に大量の水分もため込むので予想外の体重増となってしまいます。
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当日の準備
①目標タイムの目安を自転車の見やすい場所に貼っておく
5㎞ごとの目安タイムがあるので貼っておきましょう。
5㎞ごとにでかい看板が設置されているので、
ハンドリングに気を付けて時間を確認しましょう。
②自転車から外せるものは全部外す
ライトやベル、使わないボトルケージは外しましょう。
パンクなどのトラブルでの停止は致命的ですので、修理キットも降ろしましょう。
基本はパンクしないようにタイヤやチューブは早めに新調しておきましょう。
③計測タグを身に着ける
これを忘れると公式に認定されません。
絶対に忘れないようにしましょう。
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当日の作戦
①FTPの90%を目安に一定の出力を出し続ける
会場は高所のため空気が薄く、有酸素系の出力が落ちます。
ただ、空気抵抗が少ないというメリットもあります。
シルバーの実走データ。体重は65㎏(自転車・装備は10㎏くらい)
PWRは3.7倍72分。当時の平地でのPWRは4.2くらい。
70分ぐらいかな?と思ってましたがだいたいそんな感じだった。
平地の90%の出力でもなんとかなります。
FTPの強度の90%動き続けるためペースコントロールが大事になります。
序盤で飛ばしすぎると疲労&低酸素で終盤は非常に苦しくなります。
これはブロンズ、シルバーと変わりなし
②なるべく早いスタート時間を選ぶ。
ゴールドペースになると全体の2%の実力。
時間の遅いスタートとなるとかなりの人を追い越します。
トラブルを避けるためにも、声掛けはしっかりしよう。
追い越しのための声掛け、前後確認、対向車線確認で無駄に体力を使わないためにもなるべく早めのスタートがおすすめ。
③自分のペースで走り続ける
ゴールドの実力といっても60分から65分までピンキリ。
無理に早い方についてこうとせずに、持たなければ見送りましょう。
ここで無理をすると最後までグリコーゲンが持たない可能性が高くなります。
我慢して自分のペースを保ちましょう。
④ドラフティングを可能な限り活用する
運よく同じトレインを組めたなら積極的に狙いましょう。
今の時代SNSで事前に募集できるので昔よりはハードル低い。
コミュ強の方は声掛けして協調・ローテーション回すのもアリ。
ただし、接触しないように車間距離には注意しましょう。
離れた場合は無理をせず、同じペースの人と合流できる機会を待ちましょう。
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最後に
ゴールド獲得を目指すあなたはすでにかなりの実力を持っているはずです。
上位2%を目指すからには今からさらに相応のトレーニングが必要です。
トレーニングを地道に継続すればいずれは獲得できるはず。
ここまで読んだ方なら必ずできるはずです!
今すぐにでもトレーニング始めましょう!
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